交通事故の物損で問題になることを鹿児島あおぞら法律事務所の弁護士が解説します。
物損とは交通事故で生じた物的な損害のことです。
具体的には、1 修理費、2 評価損、3 代車費用などです。
物損で問題になる点 | 内容 |
---|---|
修理費 | 事故による修理に関する費用。①修理費>②時価額+買替諸費用なら、②の限度で損害を認める(経済的全損) |
評価損 | 事故によって価値が低下した損害。登録年数や走行距離に応じて、修理費の3割の範囲で認める。 |
代車料 | 事故によって代車を利用した損害。代車の必要性や、利用期間の相当性、実際の支出が必要。 |
修理費とは、事故によって修理にかかる費用です。
どこまで認められるかは、
・修理が可能か(不可能なら全損)、
・事故に起因するか(損傷の形状と事故態様の整合性)、
・必要かつ相当か
という観点で決まります。
ただし、修理費>時価額+買替え諸費用なら経済的全損として全損扱いになります。
修理費>時価額+買替諸費用なら、経済的に修理不能(経済的全損)とされ、
①時価額+②買替諸費用の限度でのみ損害として認められます。
①時価額とは、同一の車種・年式・型、同程度の使用状態・走行距離等の車両を、
中古車市場で取得できる価額(最判昭和49年4月15日)です。
レッドブックやネットの販売価格を証拠提出して立証します。
②買替諸費用とは、事故がなければ負担する必要がなかった費用です。
具体的には、登録費用、車庫証明、廃車の法定手数料、ディーラー報酬部分、
自動車取得、重量税、リサイクル預託金などです。
なお、自動車税や自賠責保険料は還付があるので含まれません。
なお修理が終わっていなくても、将来敵に修理する予定がなくても、
修理費相当額の損害賠償請求が可能です。
評価損とは、事故によって車両の価値が低下したことの損害です。
①技術上の評価損=修理によっても機能や外観に回復できない欠陥が残存。
②取引上の評価損=事故歴があるという理由で車両の交換価値が低下。
があります。
②は評価損と認めるかどうか争いがありましたが、
評価損があることは認めつつ、以下を考慮して金額を調整するのが一般的です。
車種、初度登録からの経過期間、走行距離、損傷の部位や程度、
修理の内容や程度、事故当時の同一車種の時価などを総合考慮。
裁判例は、外車や国産人気車種は初度登録から5年(6万キロ)、
国産一般車種は3年(4万キロ)を経過すると、評価損を認めない傾向があります。
また、評価損の金額は、修理費の3割程度の範囲内で認めるのが多いです。
代車料とは、事故で代わりの車を使用する場合の損害です。
代車料がみとめられるには、
①代車を利用する必要があること、②相当な車種、期間、
③実際に代車を利用して代車料を支出していることが必要です。
①代車利用する必要があること
営業車はもちろん、自家用車でも通勤や買物利用なら代車利用の必要性があります。
他方で、.趣味やレジャーでの自家用車使用や、代車になりうる代替車両がある、
代替交通機関がある等の場合は、台車利用の必要性は認められません。
(ただその場合は交通費を請求すべき。)
②相当な車種、期間
代車が同一車種であることまでは不要です。
修理や買い替えに要する相当期間のみしか代車費用は認められません。
(修理なら2週間程度、買い替えなら1ヶ月程度。)
交渉が長引いても、相当期間を超えた分は請求できません。
③実際に代車を利用して代車料を支出
この証拠資料としては、見積書では足りず、利用や支出の事実の立証が必要です。
物損についてはかなり法的な専門性を要するため、
弁護士に依頼すべき必要性が高いといえます。
鹿児島あおぞら法律事務所では、交通事故について多くの相談を受けています。
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執筆者: 鹿児島あおぞら法律事務所
代表弁護士 犬童正樹
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