共同親権って何?メリット・デメリットは?

 

日本で共同親権が導入される可能性が高まっています。
そこで、
@共同親権とは何か?
Aなぜ今、共同親権なのか?
B共同親権のメリットは何か?
C共同親権のデメリットは何か?
について、鹿児島あおぞら法律事務所の弁護士がわかりやすく説明します。

 

「共同親権」とは何か?

共同親権とは、「離婚後も、両親が共同して子どもの親権を持つ」という考え方です。

 

日本はこれまで、「婚姻中」は共同親権制ですが、「離婚後」は夫婦のうち一方のみが親権者となる単独親権制をとってきました。
日本で導入されるとすれば、「選択的共同親権」、つまり「離婚後、共同親権にするか、単独親権にするかを夫婦の話し合いで選ぶことができる制度」になるでしょう。

 

そもそも「親権」とは、子どもの財産を管理し契約にかかわる「財産管理権」と、子どもと同居して教育や面倒を見る「身上監護権」の二つを合わせたものです。

 

もっとも、共同親権の導入や、その際の監護者をどう定めるかによっては、「財産管理権」と「身上監護権」という従来の親権の定義が変わってくる可能性があります。

 

また、「親権」という言葉自体を改めるべきだという議論もあります。
つまり、「子どもを監護養育できる権利」というとらえ方ではなく、「子供の最善の利益のために財産を管理したり監護しなければいけない義務」であるととらえるべきであるというものです。

 

 

なぜ日本では共同親権の導入が遅れているのか?

法務省が世界24か国を対象に行った調査によると、単独親権のみを採用しているのは、日本以外だとトルコとインドだけです。その他の22か国は何らかの形で共同親権を導入しています。
(もっとも、共同親権をすでに導入している国の一部では、両親の対立が激化したり、DV被害の深刻化のため、共同親権について見直しの動きがあります。この点は、後述する「共同親権のデメリット」にもかかわってきます。)

 

日本が単独親権をとる理由は、もともとは戦前の家制度が前提にありました。
戦前は、家父長制の下、離婚後の親権は父親が持ち、母親は家を出ていくのが一般的でした。

 

戦後、「幼い子は母親と暮らすべきである」という母性優先の考え方が定着しました。
その結果、離婚後は母親が親権をとることが多くなりましたが、単独親権制はそのまま維持されています。

 

そのような歴史的背景もあり、諸外国と比べ日本では共同親権がこれまで導入されていませんでした。

 

 

なぜ今になって共同親権が導入される?

もっとも、近年になって、「離婚後も両親が子の養育に責任を持ち、両親の熟慮の上で子どもに関することを決断すべき場合がある」という声が高まり、共同親権の導入が議論されてきました。

 

また、共同親権を求める背景には、親権者ではない側が子どもとの面会交流が満足にできない場合があることや、
親権をとるために、一方の親が他方の了承を得ずに子どもを連れて別居してしまう場合があることなどもあるようです。

 

昨今、法制審議会が共同親権制度を導入する方向で検討に入りました。

 

とはいえ、選択的共同親権を導入するとしても、
・単独親権と共同親権のどちらを原則とするのか、
・子どもと同居する監護者を決めるべきかどうか、
・両親の意見が対立したときにどのように解決すべきか、
・DVやモラハラ被害者の保護をどうするのか
など様々な問題があり、この点はまだ議論の最中です。

 

したがって、共同親権が導入されたからといって、それだけで、今の単独親権における問題点(面会交流の頻度が少ない、養育費不払い、)のすべてが解決するということではないでしょうし、共同親権のデメリットを払しょくするような法整備が必要です。

 

共同親権のメリットは?

共同親権のメリットとしてよく挙げられるものは以下のとおりです。

 

@子どもが両親と関わる機会が増え、どちらからの愛情も受けられる。

 

A両親が協力して子育てすることになるので、一方の育児負担が減る。

 

B共同で親権者となるので、単独親権に比べて、親権争いが回避できる。

 

Cどちらも親権者である以上、面会交流も親権の一つとして、面会交流の実現が促進する。
(その結果、同居親に虐待などの問題がある場合に、すぐに気づくことができる。)

 

D親としての自覚が高まり、養育費の支払いが促進される。
(面会交流と養育費は全く別だが、面会交流が増えれば養育費を払おうという人が増えるかもしれない。)。

 

もっとも、Bについては、共同親権か単独親権かを選択する段階で、これまでの親権争いがそのままスライドするだけではないかという疑問があります。
また、監護者を決めるとすれば、どちらが監護者になるかという段階で、親権争いと同様の争いが生じることもありえます。

 

また、Dについても、一概にそのようには言えないのではないかという反論もあるようです。
たしかに、共同親権であるはずの婚姻期間中(別居中)でも、婚姻費用(養育費を含みます)を支払わないケースが散見されます。

 

 

共同親権のデメリットは?

共同親権のデメリットとしてよく挙げられるのは以下のとおりです。

 

@教育方針の違いで、意思決定が遅れ子どもの利益を害する。
(例えば職業、教育、医療、居所、口座開設など。)

 

ADV・モラハラ被害者が、離婚後もDV加害者から逃れにくくなる。

 

B面会交流が多くなることで、子や監護者の負担が増加する可能性がある。

 

@について、両親の意見が食い違った時にどのようにスムーズに意思決定するかという調整手段が必要不可欠です。

 

また、Aについて、DV被害者が共同親権を求められることを理由に離婚を躊躇してしまう危険性もあります。

 

 

まとめ

以上のように、共同親権を導入するとしても、メリットのほかに、いくつかのデメリットもあります。
これらのデメリットに対応するための法整備を合わせて考えていかないと、離婚時や離婚後の夫婦の対立がかえって激化してしまうおそれがあります。

 

また、何よりも「子どもにとって最善の利益が何なのか」という点を両親ともに考えることが一番重要です。
子どもは両親の所有物ではありません。
両親が自分のエゴを子供に押し付けるようなことは、決してあってはなりません。

 

共同親権の導入は、まだ方向性が定まったばかりですが、今後議論が加速して、離婚法制が急速に変わっていく可能性があります。
また、そのような法改正の動きは、改正前の裁判実務にも少なからず影響を与えるでしょう。

 

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執筆者: 鹿児島あおぞら法律事務所 
代表弁護士 犬童正樹

 

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